彼女へ/湾鶴
ときおり うなずく
うっすら目をあけて
アリでも ながめているのか
ここからは遠い
灰色の眼鏡には まぶしすぎる
桜の羽毛
さわっても怒りもせず
ときおりうなずく
貝のようなオーラにいだく
壊れてしまいそうな幻想のために
庭の樹木を仰いだ
すこし治った気がする
日差しが強くなってきた
そろそろ君に帽子をがぶせよう
カモメのような自由なやつがいいだろうか
風にのってすぐにでも飛んでしまうかな
そしてだぶん
アリをながめていた目が
彼方の空へ流れていく
あぁそれでだけでいいかもしれない
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