八月の砂/
及川三貴
焼かれた瞼
太陽の中に
見える 砂
砂を咬む足
地に落ちて
光の拡がり
あの同心円の天蓋
剥がれる皮膚
純粋な炎の
聴こえない 名前
その一粒が波紋の様に
音に還って 拡がる
光の 燃える 人の
影の祈り
あの同心円の天蓋
息を呑んで
華のように灰のように
ひらひらと宙を横切った
幾万の蝶が
その朝
舞ったでしょう
押し上げ 仰いで
雨が降る
あの同心円の天蓋から
黒い雨が降る
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