博士たちの受難/池中茉莉花
何時だろう 目が覚めた
風子は ふと 秀也の顔を覗きこむ
「ふふ 凍ってる かわいぃ」
秀也の腕がぴくりと動いた
「ねえ、逃げようか」風子はちょっとささやいてみる
「秀ちゃん、逃げるわけないもんね」
風子は また ゆっくりと 横になり ごつごつした枕に 頭を埋める
やいなや 秀也が目をこすりながら ぼそっと つぶやいた
「ふうちゃん、逃げるか」
まさか・・・と風子は思った
「聞かれてしまった」
・・・
大学の研究室。一部屋に4人。机と本棚とコンピュータだけでキチキチだ。もともと2人部屋だったところに詰め込まれたのだから、あたりまえ。4人いても来るのはいつも2人
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