「 おちんちん電車。 」/PULL.
 
時間が迫るとツミヲはいそいそと身支度を調え、
一人でホテルの部屋を出る。
部屋に取り残されたあたしは、
ゴミ箱の中に捨てられたコンドームを、
数えて過ごす。
やがてそれも飽きるから、
ツミヲが買ってくれた黒い下着を身に着け、
ツミヲが今夜に指定した服を着る。
ホテルを出ると最終電車はもう終わっていて、
あたしは二駅と三つ、
歩いてここに帰る。

最終電車の通った後の線路は、
寂しそうに見える。
だから、
線路に沿って歩きながらあたし、
この線路の先に棲む人達のことを、
いつも考える。
ツミヲと同じ最終電車に乗った残業帰りのサラリーマンやOLや、
派遣会社の女子
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