ノート(橋)/木立 悟
 



短く撓んだ橋があり
歩いても歩いても
向こう側につかない
ひとつの巨きな魚の影が
川底の蒼い建物に落ち
頭でもあり尾でもある尾が
無数の泡の影を束ねている



吼え声が水面を揺らし
逆さまの扉から蒼は増す
橋の影も 魚の影も
蒼のなかに浮き沈み
橋げたと橋げたの影だけが黒く
空に足もとにゆらめいて
向こう側にはまだ
たどりつかない










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