きみの国を探している/yo-yo
 
見上げれば星屑が眩ゆすぎて
さすらえば闇が深すぎて
若いぼくらは歓喜で眠れなくて
そんな国があった


言葉でもなく指きりでもなく
確かめ合った
赤い木の実を食べて
甘い草の根をかじって
そこに
きみの国があることを


春には桃色のカーテン
夏には光のオブジェ
秋には虫たちのトッカータ
そして冬
ひとびとは白い夢につつまれて眠る
優しい国があった


小さな集落がいくつもあり
それぞれの言葉があり
そこで生きて
そこで死んでゆく
山の上にひっそりと墓が残った
静かな国


貧しくて飢えた
一粒の米も大切にした
米養生の甲斐もなく死ん
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