美しい国/小川 葉
 
その角を右へ
曲がればあるはずの
家までわたし
たどり着けなかった

その角を左へ
曲がればあるはずの
家まであなた
みうしなっていた

ガムを噛んでは
吐き捨てて
生きることとは
焼け野原で

まるで終戦の
記憶のようだった
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