詩はやってこない/楢山孝介
 

今日一日の出来事で
何か詩の題材になりそうなことはなかったかと
思い出しながらパソコンに向かう

その程度で詩はやってこない

一度机から離れ
床に寝転がり
明かりを手で遮って眼をつぶり
空想を頭の中で転がす
眠くなったりする
エロくなったりする
何か掴めそうになる
思わず手を伸ばす
眩しさに眼をやられて
掴めそうだった何かを手離してしまう

そんなことで詩は近付いてこない

さあ今日も行き詰まった
家でじっとしていてもどうにもならない
外へ出てしばらく歩く
バス停のベンチに坐り
街灯の明かりを頼りに
手帖にいろいろと書きつける
題名だけ書いて
[次のページ]
戻る   Point(3)