詩はやってこない/楢山孝介
今日一日の出来事で
何か詩の題材になりそうなことはなかったかと
思い出しながらパソコンに向かう
その程度で詩はやってこない
一度机から離れ
床に寝転がり
明かりを手で遮って眼をつぶり
空想を頭の中で転がす
眠くなったりする
エロくなったりする
何か掴めそうになる
思わず手を伸ばす
眩しさに眼をやられて
掴めそうだった何かを手離してしまう
そんなことで詩は近付いてこない
さあ今日も行き詰まった
家でじっとしていてもどうにもならない
外へ出てしばらく歩く
バス停のベンチに坐り
街灯の明かりを頼りに
手帖にいろいろと書きつける
題名だけ書いて
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