ぜろはちぜろろく/山中 烏流
 
夢現な朝露が
透明を保つ空気の中で
そっと
身体を震わせる、朝
 
細やかな振動は
私が眠ったままの揺りかごを
徐々に強く揺らして
目を開くことを
強要する
 
 
ああ、空に
灰色の揺らぐ橋が
音をたてて
建設されてゆく
 
鳴り響く警報は
時、既に遅く
誰かの絶叫と交じりながら
誰でもない誰かへの
警報を、
 
 
燃え上がる地表の
その温度を
 
私は何故
知らないのだろうか
 
 
蜃気楼が立ち上る
見渡す限りの地面に
もとは私と同じものが
突き刺さっている
 
涙は黒く濁っていた
空も、私も
黒く濁っていた
 
 
ああ、日溜まりが、見えない、
 
 
枯れ果てた木々の
汚された水々の
消えることはない罵声が
聞こえるだろうか
 
失われていった
世界の断片の
痛いくらいの嘆きが
聞こえるだろうか
 
 
また
繰り返そうと
 
している。
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