静かな夜/
及川三貴
夜の冷たい川沿いに
軽やかな秒針の音
寝静まる畦道の空想
蟋蟀数えて更ける
誰か の物思い と
雨が降って大気を導き
水待つ蛙の物憂げ
風の鳴る音 戸を叩き
葉裏にとまる蝶の黙想
草踏む靴底 湿りを帯びて
青々とする匂いを
舌の上転がして俯く
吐息数えて更ける
わたし の片思い と
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