【小説】月の埋火/mizu K
しかしその中か
ら、ちりちりとした刺すような感覚があったという。
――埋火。
うずみび、ですか。私がけげんな顔をしていたのだろう。
祖母はおもむろに火箸を取って囲炉裏をかきまわし、灰の中
からあかあかとした燠を取り出した。
こうやって火を絶やさないようにするのですが、その小さ
な球が、火を宿しているように思えて。月に火があるのです
か。月の光はつまり、太陽という火の玉の光が反射したもの
でしょう。ああ。
あ、そういえば似たような話を聞いたことがあるような気
がします。でも、確かあれは、月の光ではなくて、月光でで
きた木の葉の影を取る話だったような。*
あれ、同じ
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