ポケットに速度/もろ
 

ゆっくりと水位が下がる速さで
湯船の底に
夜がすいこまれていく
排水溝を通り抜けた夜が
ひんやりと
海まで流れて
水面で
光とすれ違った。

その
速度を捕まえて
ポケットにしまってしまった、
私。

「ごめんなさい」

言葉になる前に
ポケットに吸いこまれて
消えてしまった。



*********poenique**ゴル**07/08/05********

戻る   Point(4)