膝枕/掘鮎涼子
 


僕はボクも嫌いになったのだろうか

僕は大人しく部屋に逃げる
まだ寝る時間じゃないのに電気を消す
「本当にこれでいいのかい?」 僕は僕に呟く
結論は出せぬまま 行き場のない感情を押し殺す

猫が僕の部屋に入ってきた
僕は温もりを求め 猫を抱こうとした
猫はヒトの手に怯え 逃げてしまった

猫はヒトを嫌いになったのだろう
猫はボクも嫌いになったのだろう

「ごめんな」ってもういない猫に謝る
自然とボクの頬に冷たさが伝わる
もう寝ようと決める
この場から消えたいと願うから
だけどなかなか寝付けない

ボクを嫌った猫がまた部屋に入ってきた
ボクの膝枕で猫は眠った
ボクも温もりを感じて眠りにつけた

猫はヒトを嫌いになってなかった
猫はボクを慰めてくれた

そんな気がした
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