手紙/
桜井小春
あなたへの手紙を書いていた
のに
万年筆のインクが
なくなった
のに
引き出しには
屑
しか
詰まっていなくて。
白紙の便箋だけで
あなたに
何が伝わるというのでしょう。
それとも
屑を空に放れば
星屑となって
私の目となり
耳となり
あなたのことを半永久的
に
感じることが出来る
と
でも?
光化学スモッグに
覆われている街
なのに。
地上に届かない光
で
あなたに
何を与えられるというのでしょう。
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