52P 「短歌2」より/むさこ
 

近くにて花火の爆ぜる音のして
幼等の声 広がりてゆく

指染めて高菜をもめばよみがえる
故里の畠にゆるる菜の花

窓明けて寝ながらに見る夏の夜
高層ビルの窓に動く人影

夕立の前ぶれか空の暗がりに雀が
北を指して飛びゆく

癇性に磨きあげたる まな板に
キャベツのみどりを刻む充足
戻る   Point(8)