記憶の断片小説・ショートシネマ 「ロイド」/虹村 凌
ロイドは、彼女の父親が、この祖母の家に突然訪問する事を恐れていた。
ロイドの祖母がいない間に、ロイドがそこに住み着き、
何をしているのか心配になって、突然訪問する…事は十分あり得るだろう。
僕が父親だったら、そうするかも知れない。
一度、彼女の父親から電話がかかってきて、
ロイドは必死で訪問を拒み、安全を伝えて、
「明日帰るから!」とどんなに叱られてもいい!と言った感じで、
一晩だけの許可を勝ち取る努力をしていた。
電話が終わった後、彼女は僕を振り向いて、
「ねぇ、靴を隠して。ライチだけならまだしも、男の靴は不味い。
あの男(彼女の父親の事だ)は、何するかわからないの。
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