記憶の断片小説・ショートシネマ 「ロイド」/虹村 凌
 
どんなリアクションをとったか忘れたけど、
きっと挙動不審な感じで、彼女との距離を詰めたんだと思う。
ちょっとイチャイチャとして、遊んで。
慣れていない僕を、彼女は笑っていた。

僕が靴下を脱いで、小さな机の上に足を投げ出すと、
彼女は「汚いなァ」と少しだけ、不機嫌そうに言った。
それは大した事ではなかったけれど、何だか、今でも覚えている事。

僕達は少しの愛だだけ、お互いの体を触ったりして。
前戯にも満たない、ちょっとした遊び。
僕の思いつきで、ライチを呼ぼうっていう事になった。
ライチの紹介で僕らは出会ったんだものね。

僕らはライチを呼んで、彼女が来るのを待っていた。
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