おとずれる/こしごえ
 

遠い
すぎ去った日々はいつも
いいわけのできない まなざしで
宙へ
ゆれながらただよう(果てしない不問

こたえがどこにもないので)いいえ
つきしたがう歌声があるはず
涙の しずけさを灰へかえした回帰線で
うらがわの時空が歪みはじめて
霊柩車が
群集のあいだでクラクションを間延びさせる

ええ えぇ
お願い致します……
だのに
予約席はむなしくあいて
むこうがわからつづく
理由で
食事をしている
群集はとめどもなく咽下しておりました

しめった闇に ぽうっ
とついたゆらめきは
いつまでも脈動できるのかしら
あらがえないのです
さびしさの骨格となっても
たしかによこたわっている空の淵で
鳴りやまない私の叫び

どこかで
個人が個人でいられるのは
すべてがつながっているからでもあり
ムダに私でいられるというほど
光に重さはないの
あぁ廻るまぶしさ!
かるい眩暈をくりかえす

きっと しずかなおとずれなのでしょうね
火葬場にて
煙が、ひとすじ








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