おとずれる/こしごえ
予報は雨
(真昼)
あらがえないの
この時計の刻む
奥底からきこえる声には
自性が宿っているのだから
茫洋として連なっている先へ
零時の胎動しているのは不在
の影が失われた地平線となって
私を立ち尽している
ゆらぐ太陽にきずついた
青ざめる水晶時計の回折
(真夜中)
どこかで半鐘が鳴っている
月虹のもとで
燃えさかる炎の円舞が
誰もいない この部屋で
ささやきの形象を焼きおおせる
やがて
きのうの残り火が
境界線へ点火して雲のむこうがわへ
あざやかな朝日の産声をかたちづくる
その時 初めて私は
かたち無い吐息に従属できる
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