旅に出よう/ぽえむ君
 
お父さんばかり旅行して
子どもたちはそう言っているが
単なる出張をしているだけだった

夏休みだというのに
どこへも連れて行かせてやれない自分が
情けないのだが

仕方なく今回も出かけてゆく
マーケティング調査のために
会社から言われた場所へと向かう
特別なテーマパークもない現地は
平凡そのものだった
それでも仕事を片付けねばと
まずは地理を把握する
次はそこでの生活感覚を読み取ってゆく
どの学校に通っていたのか
何の風習があるのか
どういう店があって
どんなものを買うのか
何が話題の中心なのか
気づけばわずか数時間で現地の人である

出張から帰ると
子どもたちはお土産だけが気になるようで
その名産のいきさつなどには興味がない
子どもたちは旅行というものを知らない
行きたいところといえば
誰もが知っているテーマパークしか言えない

夏休みだというのに
どこへも連れて行かせてやれない自分が
情けないのだが
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