青いテント/長谷伸太
してきた私は時計から目を離し、奥にいる誰かに目を移しました。そこにいたのはお腹から上だけしかない沙世ちゃんでした。半分だけの沙世ちゃんは、ほんの少し苦笑いしながら、いらっしゃい、嬉しいわ、と言いました。後ろからは相変わらず、そうだね、という規則正しい相づちが聞こえていました。気持ち悪くなってきた私は沙世ちゃんにどうして半分になっているの?と聞きました。あなたは悪くないのよ?と、少しの苦笑いのまま沙世ちゃんは返事をしました。そして、一人で勝手に喋り出しました。いよいよ気持ち悪くなってきて、吐気がしてきました。後ろではやっぱり相づちが鳴っていました。
あなたは悪くないのよ
私はあなたの
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