青いテント/長谷伸太
 
 私、なにか悪いことした?と聞いてみても、沙世ちゃんは何もしてないよ、と言うに決まっているのでやめました。お互いにまたね、と言って別れました。沙世ちゃんが去って行くのを、見えなくなるまで見送りました。ついに角を曲がって姿が見えなくなった時、一度くらい振り返ってくれても良いのにと思いました。なんとなく石ころを蹴りながら歩いていたのですが、溝に落ちた石ころは、また地上にあがれるのだろうか太陽を見る事が出来るだろうかなんて考えると、申し訳ない気がしてきて、それもやめました。
 綺麗な花が咲いていたので、思わず摘みました。私の頭の中は沙世ちゃんの事で一杯でした。薄桃色のこの花を沙世ちゃんに渡して、それで
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