ガリレオ・ガリレイの溺死/柳瀬
僕はなんでも欲しかった
「意味がないもの」なら、なんでも欲しかった
僕は僕も欲しかった
あの子を僕の代わりにしてたから、あの時はあの子も欲しかった
あの子は頭が悪かったから
僕を問いつめる事もしなくて
ただ、
ただ、
それなりに幸せに暮らしたふりをして
墜落して行った
あの子が緑になった時も
あの子が赤になりたかった時も
僕は見ていた
あの子に意味はないから
ただ、
ただ、
倒れるのを待っていた
死んで欲しかった
(乳首は黒で鼻の頭は桃色
そばかすが並んでいる頬は汚い)
今はもうそれぽっちの内蔵しか、あの子の中には無い
それ以外は、僕の親指と人差し指で潰して全部剥ぎ取ってしまった
それでもやっぱり、あの子はぐちゅぐちゅだったから
僕を問いつめる事もなく
ただ、
ただ、
「中に出してよう」
と、汚い頬を僕の胸に擦り寄せながら泣いた
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