思い出/小川 葉
 
生まれては消えてゆきます片恋は炭酸水の泡の数ほど

もくもくと瞼の裏に夏の雲夕立のあと虹ふたつ

遠雷におびえる硝子風鈴の母を呼んでるかぼそき声

はてしなく走る草原夏の日の思い出は今ポッケの中

途中下車改札口ですれ違うあなたによく似たセーラー服

その角を曲がれば見えますくれないの夕日に染まるわたしの家
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