路について/石川
 
後ろむきは高くつく
むこう側からやってきたひとがいう
広いみちを歩いている
たくさんのひとにまぎれ
ひとりのようで
たくさんのひとと
縦横無尽に歩いている

まなざしのさき
一寸の青がにじむところへ
羽がないので
波のうえを歩きながら

ときに

うしろがわへすすむ
高くついても
うしろがわへすすむことがある
そうして
みちを終えるとき
ふりかえり
あいとかではなく
すこしぐらい
ふりかえり
なにか
ゆるせるようにと
はんなり
ほんのり
ふかくのぞむ


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