きみは昼の月/Utakata
 
最後に昼の月を見たのは
いつだったろうかと思った。

思い出す月の姿は
いつだって半端な円で
爪の根元の白さにも似て
僕たちの身体という
不完全なものの一部分に
それは酷く似ていた

見上げたときの季節は
ずっと真夏だった
山の端のほうを見ると
いつだって馬鹿みたいな雲が

いつだってあたりは静かで
いつだって他に誰もいなかった

冗談のように
空に浮く星
(ほんとうに冗談だろうと思った
 あんな星なんて
 あるわけがないと)
夢を見ている
水母に似ていた

すごく
それに似ていたと思ったんだ
君は太陽を背にして
ゆっくりと振り向いて笑いか
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