rain/小原あき
 
夕暮れに
打ち水をした小雨
気が付いたら
夏の涼しさが
玄関に居座っていた

そんなことが
嬉しく思える
わたしは
人に生まれてきて
良かった、と


意味もなく
悶々としていても
自転車に乗って
流れる風を
溢れる木漏れ日を
その肌に感じれば

微笑みが
こぼれ落ちてゆく


こぼれ落ちた微笑みを
きっと誰かが拾って
また、
新しい微笑みが
生まれると
良いな


平凡な日々は
静かで
幸せを書き留めるには
絶好なのだと
木々は言っていた

騒がしい街中は
ひとつひとつの
幸せを隠してしまう
まあ、
それは大きな
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