創書日和「星」  初恋の人/逢坂桜
 
 芯のしっかりした人じゃった

   あれが、儂の初恋だったんかのう」

  悲しそうな顔で、硬い手で、あたまを撫でてくれた


  夏の星は、祖父と、忘れがたい人を、思い出す
  
  長い長い時間を掛けて、祖父の眼に届いた光

  過ぎた時間を呼び戻す光

  小さく熱く、どれほどの時間を露ともしない

  
  それは、いまも胸に残る

  初恋の人に、似ている


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