くらげが触れてしまった鮮やかな未来/土田
 
モノクロの額にうすく伸ばした極彩色をはめ込んでゆく
混じりあったあとにできた灰と銀だけがぶれ
ほの暗い海月の夢が姿をあらわす

ゆら、ゆら、ほてん、ふらほてん
きみを許す

砂漠と深い森のなかを
子供たちがテレビのリモコンを奪い合って
ループ再生のボタンを押し続けている

誰もいなくなっていたと思うのは今はよしておこう

逆光のシルエットから浮かびあがる
錆くさくぶ厚い扉と
有機質の工場機械の群れ
海月は失敗した玻璃のうつわのなか
メビウスの帯をかたどった真水のなかで
ぬめぬめとしたゼラチン質の触手で
夢を抱きとめている

ギチ、ギチ、ギガチ、ガチギチン
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