初恋/ロリータ℃。
「遅すぎたんだね」
後悔するような
美しい朝焼けの空の下で
貴方はあたしにそう言った
柔らかな水を湛えたその目は
ただただ神秘に満ちていて
「どうか嘆かないで
綺麗なお顔歪めないで
私、空の色に叶う芸術を
貴方以外に知らなくて
嗚呼、どうか貴方
嘆かないで」
あたしの薬指にはまった指輪を
貴方は気付かぬ振りをして
私も気付かぬ振りをして
一瞬冷えた貴方の目に
気付かぬあたしでいさせて頂戴
空の色に勝る芸術を
あたしは貴方以外に知らないのです
その美しさに溺れても
あたし、恋にはおちてなくて
そう、味わっている
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