聾唖のあなた/円谷一
あなたは耳が聞こえない
先天的なものでおまけにその為に捨てられた孤児だ
施設で知り合った
そこで勤めていて あなたは毎日のように通って来ていた
花のように美しく 一目見るとすぐに心惹かれた
あなたが耳が聞こえないことが分かるとすぐに手話の練習をしてあなたに胸がドキドキしながらも話し掛けてみた あなたは大きな目を見開いて笑顔で返事をしてくれた
庭を散歩したり ひたすら会話し続けたり 休日には洋風の映画を見に行ったり 遠い場所へピクニックへ行ったり 仲は日々が過ぎ去る度に良くなっていった あなたは太陽のような人だった 声は恥ずかしくて出せないと言っていたけど 声を聞くと心の声のようでその純
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