鉄筋とトウモロコシ/ぽえむ君
 
暴風で倒れたトウモロコシ畑の
その隣で新しい工場が建て始められ
太い鉄骨がまっすぐに立てられた
まだ収穫されていないままの
その実を背中にした
作業員の目は悲しそうだった
鉄骨は太陽の光をはね返し
トウモロコシは抑えられてゆく
それでも立て直そうとする者は
誰もいなかった
みな黙々と自分に課されたことに
従うしかなかった
食べるために働くことが
元来の生き方だというのに
鉄筋とトウモロコシは
どこか今の現実を表していた
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