校長先生/ふるる
校長先生のお話は
いつもとても長く
生徒が一人、二人と崩れてゆく
背筋を真っ直ぐ伸ばしたまま
音もなく倒れ
そのまま影となる
「これで、校長先生のお話を終わります」
その瞬間
校舎
校庭
交差点
鉄塔
町外れの丘
ぜんたいが
ふっと肩の力を抜く
その拍子にタイヤがスリップし
きれいに磨き上げられたショーウインドーに突っ込んでも
朝はやはり静か
先生の声が
よく
通るために
校庭によどんだままの影は水をかけられて
やがて染み込んで
忘れられる
忘れない
忘れない子は次に崩れよう
臭い犬が校舎に迷い込んで
こすからく半分開いたド
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