見えない車窓/ぽえむ君
夜の列車から見るその風景は
何も動いていなかった
駅を出発してから
ずっと走り続けている
次の駅はもうすぐなのだろうか
それも定かではない
四人がけの座席に
自分だけかぽつんとだけ
窓越しに肘を立てながら
朧げな世界の中にいる
果たして今
自分は現実の世界の中にいるのだろうか
奇妙な世界だった
窓の外は闇だけしか見えない
間もなく停車する
そのアナウンスに安心する
停車した駅は
誰もいなかった
降りる人も乗る人も
発車ベルを鳴らす人も
誰もいなかった
列車はまた走り始める
窓の外は暗いまま
それでも列車は
確実に目的の場所へ
自分を連れて行ってくれる
それは「平和な国」の
走り方でもあった
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