微笑みリボン/ペタ
降り落ちてきた一輪の花のほころびから
少女のリボンの結び目が
はじまるのです
ほどけても
へいきなようにあっけらかんに
結んでいるから
髪の毛は
猫のように気まま
笑顔
ってなんだろうと
帰郷のための鞄の中に
思い出にならないものだけ
いくつか
つめておいたけれど
少女は
じぶんのための少女に
なりたくなかった
だれのためでもない存在は
ほころびになって
また新しくはじまれるかしら
高原の
一群れの花が
途切れている理由は
鞄の中にはいらなかった
思い出にしか
ならないものだけが
知っていたのかもしれないけれど
だれのものにもならないのなら
理由を知っては
いけなかった
降り落ちて
きたものは一輪の花
そのほころびを覚えているのは
少女の中の
たったひとつの
笑顔の痕跡
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