夜雨/ねなぎ
視覚が寸断されるように
蒸すような味覚を
領域に侵食されて
縦波に揺られていた
不安定な流れでは
確認すら覚えず
認識を失ってしまった
掻き鳴らされる
物打ち跳ねる渦の中で
飛沫が空気を捲いて
振動するのを聴いていた
媒質が変わったならば
距離など測らなくて
良いのだと知った
圧力の変化に戸惑い
絶え間無い共鳴を
求めるように
声が漏れていた
粒子の密度の変化を
読む事など無意味だと
解った気がした
見えもしない濡れ羽色の空から
落ち散らばった水が
切り裂く空気の微細を
構わずに吸えば
揺蕩う音が
嫋やかに匂った
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