悟/きりえしふみ
 
 指先から不可視の(しかし、それは或る者らにとっては銀色に光る)糸
 幾つもの繊細なる撓る糸、弛ませ垂らした
 撓らせては 垂らした
 道という道 道のない道へまで
 私は眉間から七変化する糸 こめかみから 指先……足下から陸伝いに
 風や雲を伝って 陽光を 月光を お仲間と引き入れた
 ティースプーンで 其処に私を解いてみた
 私の一部を其処に塗した 浸した
 風にパラサイト……君の肩を突いて振り返らせた
 青い未成熟な唇を奪って 永遠に帰らなかったりもした
 
 吐く息から ?それ?を垂らした
 想像の及ぶ限り 想像の及ばぬ範囲にまで
 せせこましく 私の糸を垂らした
[次のページ]
戻る   Point(4)