廃色?はいいろ?/桜井小春
壊死した指先は
君の胸に疼く爪痕さえ残せない 。
陳腐な歌しか吐けない唇は
いっそ腐肉と呼んで
腐り落ちたところを
喉に押し込んでしまおうか。
嗚咽感に耐えきれないのなら
狂い咲く花に抱かれることを
祈って
倒れて
舞い上がる花弁の中で
失われた彩度を嘆いてみようか。
少し疲れただけ。
終わりに憧れているだけ。
始まりの前に戻りたいだけ。
いつだって
タチが悪いのは君だけ。
モノクロの世界にもそろそろ飽きた。
おいで。
君を抱く両腕はまだ残っているよ。
おいで。
君のために残しておいたんだよ。
三つの原色だけでいい。
教えて。
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