我に光あれ/小池房枝
言葉は、時々、海に似ている。ひとのそれへの扱い方が。
何でもかんでも投げ込んだり引っ張り出してみたりした挙句
何かあるや否や「言葉って難しいですね。」
ひとよ、それは言葉のせいなのか。
小一時間ばかり問い詰めたい。けれど。
「そうですね。言葉は難しいですね」
どうぞ、立ち竦んでください。投げ出してください。
何故なら、確かに言葉(わたし)は難しいのだから。
そしてかかわりたくなくても、かかわらずに済むものではないのだから。
引き受ける気がなくても。何ひとつ、担う気がなくても。
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