今夜月明かりに虹を見る/rabbitfighter
それぞれの意味で苦渋の決断であっただろう。
子供のころからの不眠症もちだった僕はこの閉ざされた環境の中で生活できるのか不安に思っていた。僕の通っていた病院がカルテと処方箋をタンカーのクリニックに送ってくれて、ドクターは後日直接僕にメールをくれた。「船には君が必要といている薬の備蓄は十分あるし(それは彼女のために用意されたものらしい)、君にその気があるなら、一緒に治療の道を探しましょう。」その言葉に背中を押されて、ぼくは船に乗ることができた。
乗船初日は、同じ日に乗船した5人の学生とともに船内をみてまわるオリエンテーションに参加した。その途中、僕はクリニックでドクターと会い、軽い会釈をする
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