それでも生きている/ぽえむ君
 
これから向かう家庭教師先の
国語のテキストを
電車の中で読んでいた

その内容はあまりにも悲しかった

戦争で両親を失い
家もなく食べるものも満足いかない
それでも生きようとする
子どもの話だった

自分が受け持たされた生徒に
あいさつをする
「こんにちは」
「うん」
「宿題はやったの?」
「わかんない」
「前回のノートは見たの?」
「知らない」
「そんなんじゃテストやばいだろ」
「そうなの?」
これはいつもの会話だった

夏休みは夏期講習と称して
何十万もかけて授業を行なう
もちろん親の判断と意志だった

生徒は自分がさっき読んだ物語を
見始めた

その光景はあまりにも悲しかった
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