おばけなんかじゃない/美砂
 
私たちが校舎で出会うのは
おばけなんかじゃない
それは
だれかの通り過ぎていったあと
だれかの
いちばん子供だったときの
いちばん光に満ちた
いちばん軽やかな
いちばん無防備な歩み

まっすぐに長く続く廊下の先に
私たちが教室ではないものをみつめているとき
ずっと昔、ここを通り過ぎてきた子供たちのだれかが
いま、惜しむように
私たちをみつめている
君たちはかつての僕だ、
と、
ただまったく違う、まったく別の未来へむかう
僕なのだ、



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