哀しみ皇子(8)/アマル・シャタカ
 

それが、やさしさの加わった涙?
「いえ、そうじゃないわ
私がね、泣いていると、あの人がそれに気づくときがあるの
そしたらね、そっと、ほんとにそっとだけど、指で私の涙を拭ってくれるの
そのね、なんともいえない優しい顔を見たらね、涙が溢れてとまらなくなるの
その涙なんじゃないかなって」
そういえば、オジサンも相手の涙を拭ってあげていたっけ
そうか、拭ってもらえる涙なんだね
「形の上ではそうかもしれないけど、たぶん、本当は・・・・・」

いいところで、お風呂から哀しみと太郎さんが出てきた

うーん、もうちょっとでわかりそうな・・・・・

とうさん、かあさん、お風呂をいっしょに入らなくてもいいからさ
時々でいいから、背中の流し合いぐらいはしてもいいかなって、花子さんの話を聴いて、ぼくは思うんだけど
じゃあね、また手紙書くから

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