創書日和「星」/虹村 凌
ゴール線上の彼女は
くるくると回って
派手な音を立てて無様に転ぶ
すぐに起き上がろうとしない彼女を見て
手を差し伸べるけれど
その手を素直に受け入れない彼女は
ゴール線上の
十歩進んでは転んで
十歩進んでは転んで
その度に混乱して
腕を切ろうとしたり
誰かを傷つけて怒らせて泣かせて
暴力の裏返った服従と幸福を欲しがる
そんな危ういバランスの上に立つ彼女は
ゴール線上の
彼女は上手にボールを避けながら
それでも転びながら
少しだけ前に進む
彼女は上手にボールを避けながら
ボールに付いた泥をかぶって
派手に転ぶ
「ねぇ 今までで一番好きな星の話をし
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