麦の穂をゆらす風/いねむり猫
 
私達はこんなにも美しい土地に生きている

森から抜け出したような おまえのやさしい歩く姿や
泉から湧き出しているような 子供達の笑い声
頬をなぶる風のような母親の言葉

季節毎の自然に課せられた仕事をこなして
やっと生き抜くことができる厳しい土地でも
私達はなんと美しい季節に取り巻かれていることだろう

それでも血は流れるのだ
人々が信じることを貫くという欲望によって

娘達の腹が裂かれ 子供達の首をはねる

信念が 己が信じる世界のつながりが
この季節の 黄金色の麦の穂を揺らす風の
届かない場所をつくるのだ

なんとゆう秋の木々の美しさ
木々が古い家々を多
[次のページ]
戻る   Point(0)