『石の女』/川村 透
 
目覚めている時の、
彼女の姿は写真には写らない。
僕はこっそり、眠り姫、と呼んでいる
なぜって?
眠っている、その姿だけは写せるからだ、
盗むことが出来るからだ、
と、僕だけが知っている。
彼女は、知らない。
彼女がどこから来たのか僕は、知らない
彼女がどこから来たのか彼女も知らない
彼女が誰、なのか、僕も彼女もわからないまま、
僕たちは磁石と砂鉄のように一緒に暮らし始めていた。



フリーのカメラマンである僕は、眠り姫、に夢中になった。
過去をなくした彼女の保護者として
カメラを使って親密さを積み上げていくうちに
暗室の闇の中、僕は、
彼女の姿が写真には写
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