雨と手紙/小川 葉
 
雨の空を見上げて
あなたからの手紙を待つ
何日も何日も
待てども待てどもこない
手紙は連日の雨で
空にとけてしまったかもしれない
そう思って家に帰ると玄関先で
それは静かに待っている

雨に濡れて
今にもとけそうな一葉を
壊れないように
そっとそっと開いて読む
そこには懐かしいあなたの言葉

私は返事を書いて
雨の空に送った
その手紙に返事はこななかった
きたとしても伝えるべき言葉はもう
何ひとつなくなっていた

雨がやめば
あなたは傘をささずにやってくる
そう、私はあなたの
声が聞きたかったのだ
言葉ではなく声を
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