循環小数(endless)/ピッピ
 
吐いた者(吐瀉物)が復び街を闊歩しています 優しさの対義語は不優しさです 憎んでいます 空っぽの空から降って来るのは橙色のお月様です 欠片が見えます あの何もない部分は食べられてしまった部分です 残り物の旅は続くのです 髪が絡まるのは時空が歪んでいるからです 通りを歩いていると幾つも歪んでいます 人が歪んでいます 人が心が 片一方の靴下が点々と落ちています 忘れ去られた日常を思い出すためだけに 私達は黄色い菓子パンを啄んでいるのです 猫の仕草で 猫の仕草で鳴きながら 胃液の匂いを思い出すのです 故里は 故里は真白です 金縛りを解いたら出掛けます きっともう帰ってくることはないでしょう 誰がが私を壊
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