終日 (ひねもす)/
こしごえ
うちわをあおぐ
私は
縁側で
入道雲を見遣(みや)る
庭では生垣が
真っ青な息をしている
深い静けさに みちて
遠くで ひもす鳥が ないている
山の ふもとを流れてくる
小川に うるおう田園 田園
やがて
稲穂の さやかにかおる秋を むかえる
そよ風に
夏の残り火が 灯るのであろう
※ ひもす鳥=カラスの異称。
戻る
編
削
Point
(21)