A wandering fish/shu
 
ホテルのバスタブで
泡の中に沈んでいくシャツやパンツやら
ぐるぐる回して素足で踏みつける
ベッドから彼女が這い出してくる
「プールで潜らない?」
抑揚のないいつもの声
ゴルフで痛めたという中指をたてて
野獣のような身のこなしで
素っ裸のまま跳ね起きる
愛すべき白いお尻が左右に揺れる

水面に仰向けになって浮かぶ
アトリウムのガラス張り天井に銀色のパイプが幾重にも伸び
プールサイドには観葉植物が巨大な葉を茂らせている
フィッシュアイのような視界の中で
太平洋の真ん中に漂っている自分を夢想する

泳ぐという行為の中には「永遠」が隠されていると誰かが言っ
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